『優月。ごめんな』


“どうしたの?”


『俺のために嘘ついてたんだろ?』


俺の将来のために、別れようって言ったんだよな。


“いいの。それで蒼甫君が成功したんだもの。すごく嬉しいよ”


『なぁ、ひとつ教えて欲しいことがあるんだ』


俺は、どうしても優月に確認したいことがあった。


『高3の時の俺の誕生日。もしかしてあの公園に行った?』


ずっと、それを聞いてみたかった。


“行ったよ。でも、どうして知ってるの?”


やっぱり。


やっぱり会いに来てたんだ。


『ベンチにクマのストラップ置いてった?』


“うん。置いた。え、もしかして蒼甫君”


『うん。俺も行ったんだ。その時拾ったんだ。クマのストラップ』


“私ね、20時まではあそこにいたの”


『俺、20時過ぎちゃったんだ』


すれ違ったんだな。


やっぱり…。


『何時から待ってたの?』


“確か17時過ぎだよ”


『そんなに待ってたのか?
寒かったろ?ごめんな。
俺がもっと早く着いてれば…』


そうしたら俺…。


優月を抱きしめてやれたのに…。


“あれね、ペアになってるの。手が繋げるようになってて。
蒼甫君が撮影してた離島の島で偶然見つけて買ったの。
蒼甫君に似ている気がしたから”


あの島で買ったんだ…。


ってことは、俺と優月がひとつになった日に買ったんだ…。