『でもさ。どうして海外へ行ったの?国内でも写真は撮れただろ?』


聞いた時、すげービックリしたし、ショックだった…。


“私ね、人見知りを返上したかったの。

自分を変えたかった。

誰にも頼らずに、自分の足で歩いてみたかったの”


『でも一人旅だろ?怖くないの?』


あの優月が海外で一人旅なんて、俺にはどうしても信じられない。


“確かに色々あったんだけどね。

でも、そんな時いつも思い出してたの。

蒼甫君が言ってたでしょ?

周りの人が敵だと思うとしんどいけど、仲良くなれば協力してくれるよって”


え…?


そんなこと言ったっけ?


いや、言った。


確かに言った。


俺、仕事始めてから、色々考え方が変わったんだよな。


“その言葉に励まされたの”


そうだったんだ…。


『随分たくましくなったんだな。なんだか信じられないよ』


以前は、か弱い感じだったもんな。


“旅を始めた最初の頃はね、いきがって一人で生きていくんだーなんて思ってたの。

もう私は誰にも頼らない。

差し伸べられた手を、簡単に取ったりしないってね”


どうして強くなりたいなんて、思ったのかな…。


俺に、頼って欲しかったのに…。