「うん。優月が出した写真集だよ」


「優月が写真集?」


「優月、高校卒業して、すぐ一人で海外に行ったろ?

ワーキングホリデーやバックパッカーを続けながら、ずっと旅の写真を撮り続けてたんだ。

その写真をネット上にアップして、ちょっとしたエッセイを載せてたら、それがすごい人気になって話題を呼んでさ。

それで出版になったらしいよ」


すげ…。


出版かよ…。


「なんか、未だに信じられねーんだ。

優月が一人で海外なんて」


守ってあげないと、大変なことになりそうだった優月なだけに…。


「あの子はたくましいよ。

誰かに守られなきゃ生きていけないような子じゃない。

お前と別れてからかな?

なんか、すごく強くなったんだ」


俺と別れてから…?


「フォトグラファー以外にも、フリーライターとして海外の記事とか雑誌によく書いてるよ。

結構洞察力があってさ、いい記事書いてる」


「知らなかったな…」


「とにかく、これを蒼甫に絶対見て欲しかったんだ」


「そうか。ありがとう」


俺は瀬名から写真集を受け取った。


「それともうひとつ、報告があって」


「え?」


何だろう。