「実は俺も、優月のおかげで今の自分があるんだ」


「えっ?」


「俺がモデル辞められたのは、優月のおかげなんだ」


「どういう意味?」


瀬名が酒を口にする。


そして、ゆっくり口を開いた。


「アイツ、コズミックの事務所に乗り込んだんだ。

最初は、薫とケンカでもする気なのかと思ってたんだけど。

優月、薫に土下座したんだ。

俺を解放してくださいって」


「土下座?」


優月がそんなことを?


信じられない…。


「そんな優月に折れて、薫がついに全て嘘だったと白状したんだ。

俺が自由になれたのは、優月のお陰なんだよ。

あの子がいなかったら、俺も今の自分はないよ」


そう言って優しく微笑む瀬名。


どんなに瀬名が詰め寄っても、絶対白状しなかった薫さんなのに…。


優月が、説得したんだ……。