「なんで海外なんだろ…」


進学もしないで。


就職もしないで。


せめて日本に居てくれたら、会いに行けたのに…。


「アイツらしいと思ったけどな」


洋平がフッと笑う。


「どうして?」


「お前には教えてやらねー」


「はっ?」


「おっと。くすぐるなよ。

俺もあれから鍛えたんだ。

そう簡単には口を割らねーよ」


…んだよ。


腹立つ。


「なぁ、洋平」


「ん?」


「お前、優月が好きだろ」


チラリ洋平を横目で見る。


明らかに動揺してやがる。


「バレてた?」


「バレバレだよ」


洋平がスッと長い脚を組む。


「いい子だなって思って…」


「え…?」


「一生懸命だし、一途だし。

自分の幸せより、他人の幸せを願う子だから」


優月…。


「雰囲気がすげー可愛い。

笑った顔が好きだ。

あと、声も話し方もいいよなー」


「それ以上言うな」


「は?」


「殴りそう」


「うっ。マジ勘弁してくれよ。

お前、あの子のことになると恐ろし過ぎる」


はぁ…。


つらい…。