カナダとは聞いたけど。


待てよ。


カナダのどこの空港に着くかで、話は変わるじゃないか。


あー!ちゃんと聞けば良かった。


こっちのターミナルじゃなかったら、どうすりゃいいんだよっ。


って…。


あ、あれは!


「洋平っ!」


「神崎」


「お前、どうしてここに?」


「お前こそ」


「お、俺は優月の見送りに…」


「はっ?」


「えっ?」


「もう搭乗ゲートへ行っちまったぞ!」


え…?


そ、んな……。


俺は力が抜けて、その場にしゃがみ込んだ。


「お、おい。大丈夫かよ…」


俺に近づいてくる洋平。


「……大丈夫じゃねぇよ」


「何やってんだよー。

俺に言ってくれりゃあ、一緒に見送りできたのに」


洋平が呆れた顔をする。


「そこまで頭が回らなかったんだ…。

優月が海外行くって、今日聞いたから…」


「とりあえず、展望デッキにでも行くか?」


苦笑いの洋平。


「あぁ…」


俺は立ち上がり、洋平と一緒に展望デッキへと向かった。