「ど、どうしてだよ、瀬名。

どうして行かせたんだよ!」


「蒼甫…」


「なんで引き止めなかったんだよ。

なんで…っ」


もう、もう二度と会えないかもしれないじゃないか。


「空港ってどこだよ」


「成田だよ」


成田…?


「ごめん、みんな。

俺、優月を追いかける」


「えぇっ?」


驚いたみんなの顔を確認しつつ、俺は学校を飛び出した。


優月、優月、優月。


どうして海外になんて行くんだよ。


俺の顔も見ないで。


どうしてたった一人で。


バカ。


何も言ってくれないのか?


どうして別れた日、あのネックレスをつけてた?


どうしてあの日、あんな寒い場所で俺を待ってた?


優月。


頼むから。


お前の声を聞かせてくれ。


どうか間に合ってくれ。