あの日。


あのままベンチに置いて帰ろうと思ったのに。


なぜかどうしても気になって、俺はこのクマを持って帰ってしまった。


「なんかこのクマ、蒼甫に似てるわね」


クスッと笑う静華。


「本当だ。蒼甫君が笑った時の顔に、ちょっと雰囲気が似てる」


さっちゃんまで。


俺に似てる…?


まさか。


俺の誕生日に、あの場所にこれを置いたのは、優月だったのか?


ど、うして…?


俺の中で、何かがパリンと割れたような気がした。


ひどく寒かったあの日。


優月は俺を待っていた?