別れを惜しむ私達は、なかなかそこから動けなかった。


だけど、私はそろそろ帰らないといけない。


「みんな。蒼甫君に会いたいでしょ?

私、もう帰るから。

みんな、蒼甫君に会って」


「優月ちゃん…」


さっちゃんが泣きそうな顔をする。


「みんな、また会おうね。

メールもするから」


そう言って、私はみんなに笑顔で手を振った。


何度も歩いた校庭を、一人で歩く。


校門のところまで来ると、後ろを振り返った。


もうここに来ることはないんだね。


この制服を着ることもないんだね。


必死に勉強して、青雲高校へ来た。


無理してでも、ここに入れて良かった。


みんなに出会えて良かった。


私の三年間は、みんなとの思い出でいっぱい。


そして。


蒼甫君と瀬名君でいっぱい。


目を閉じれば、いつでも鮮明に思い出せる。


キラキラ輝いていた、まぶしいくらい美しい日々。


笑顔でいっぱいだった日々。



さようなら。



私をずっと守り続けてくれたふたり。



本当にありがとう。



大好きだよ……。