蒼甫君の誕生日会から数日経つと、期末試験の発表があった。


進学校なのが幸いしてか、クラスのみんなは自分の試験勉強で精一杯のようだった。


そんなこともあって、蒼甫君と瀬名君とは以前のように話せるようになっていた。


事情を知ったさっちゃんもそばにいてくれるようになったし、寂しさを感じることは無くなっていた。


「なぁ。みんな冬休みどうすんの?」


休憩時間四人で集まっている時、蒼甫君がみんなに尋ねた。


さっちゃんは聞くだけヤボというか。


斉藤君とクリスマスを過ごしたり、初詣に行ったり、デート三昧みたい。


瀬名君はお母さんのお店の手伝いをするのだとか。


「優月は?」


「私は新しいバイトを探そうと思ってるの」


「えっ?優月ちゃん、あのカフェのバイトは?」


さっちゃんが目をぱちくりさせる。


「それがね。私、あのバイトを辞めることになったの。

店長が近々結婚することになったんだけど。

これからは奥さんと、奥さんの妹さんがお店の手伝いをすることになったらしくて…」


「だから、アルバイトは必要なくなったってこと?」


「うん…。そうなの。
大好きなバイトだったから残念で…」


ふぅとため息をついていたら、蒼甫君がにっこり笑った。


「優月は残念かもしれないけど、俺は辞めてくれて良かったなー」


「えっ?」


蒼甫君の言っている意味がわからず、首を傾げる。


「俺も。それ聞いて安心した」


瀬名君まで。


一体どういうこと?