俺が薫と付き合い始めてすぐ、蒼甫と付き合い始めた優月。


わかってた。


きっと、蒼甫は動くだろうって。


蒼甫が優月の肩を抱くたび、手を繋ぐたびに、胸がチクリと痛んだ。


クリスマスに甲斐の家でキスするふたりを見た時は、心が引き裂かれそうになった。


戸惑いつつも、次第に蒼甫に惹かれていく優月に気づいていた。


でも俺は、修学旅行で思わず優月にキスをした。


スキーでずっと一緒に過ごしていたから、思いがあふれて仕方なかったんだ。


そのせいで、優月が俺を避け始めて…。


あぁ、もう本当に優月は蒼甫が好きなんだなと思い知らされた。


だから、友達でいることを選んだんだ。


気持ちを封印しようって…。


優月のそばにいられるなら、もう何も望まないって…。


だけど突然、蒼甫から身を引くと言った優月。


蒼甫のために、そこまでする優月がいじらしかった。


だけどその反面…。


ズルイ心も芽生えてた…。