二人でおしゃべりをしながら歩いていたら、いつの間にか駅に着いていた。


「じゃあ、ここで」


「うん」


そう言うと、瀬名君が私の手をポケットから出した。


繋いでいた手がゆっくりと離される。


「じゃあ…ね」


「おう。またな」


どうしよう。


もう行かないといけないのに。


なんだか足が動かない。


「どうした?」


「え、あ…うん。

ちょっと寂しくて」


「……。

優月」


「ん?」


「今夜電話して」


「えっ?」


「寝る前に電話して」


「いいの?遅くなるかも」


「いいよ。何時まででも待ってる」


「…わかった。じゃあまた夜にね」


「あぁ。バイト頑張れよ」


「ありがとう。じゃあ行ってくるね」


私は手を振って、駅へと向かった。