放課後、1組の教室に瀬名君が迎えに来た。


静華ちゃんが、私達を見てニッコリ笑う。


「頑張ってね、瀬名君」


「えっ?」


そう言って静華ちゃんは、3組へと向かった。


「何を頑張れって?」


「んー。なんだろう」


うー。恥ずかしいよー。


「じゃあ、行こうか」


瀬名君と教室を後にする。


校舎を出ると、冷たい風が吹いていた。


「寒いな」


「寒いねー」


「女子って大変だな。そんな短いスカートで」


「私もひどいと思う。この長さは」


「優月」


「ん?」


「手、貸してみ」


私は左手をそっと出した。


その手を取る瀬名君。


瀬名君はそのまま、私の手を自分のコートのポケットに入れた。


「冷たい手だなあー」


せ、瀬名君っ。


ちょっと恥ずかしいよ。


でも…。


あったかいな。


やっぱりこういう感じって。


くすぐったいけど。


すごく嬉しい…。