「今日、駅まで一緒に帰ろうか」


「うん」


「放課後、迎えに行く」


「わかった」


二人で食器を返し、食堂を出た時だった。


目の前に、蒼甫君の姿が見えた。


隣には、男の子の友達が数人いるようだ。


私と瀬名君は顔を見合わせた。


少し戸惑ったけれど、私達は歩き始め、蒼甫君とすれ違った。


交わされることのない会話。


目さえも合わず、蒼甫君は友達と話しながら行ってしまった。


もう、本当に終わったんだと。


冷静にそう思った。


「優月。大丈夫?」


瀬名君が心配して、声をかけてくれる。


「大丈夫だよ。

瀬名君こそ、いいの?

蒼甫君と話せなくて…」


「う…ん。まぁしかたないよ。

俺も逆の立場だった時があるから、気持ちはわかるし…」


蒼甫君…。