瀬名君といると不思議。


心がとてもあたたかくなってくる。


瀬名君はいつも、私の心にそっと寄り添ってくれる。


落ち込めば、励ましてくれて。


いつもそうやって、後ろから支えてくれていた。


もし、あの夏。


薫さんが現れていなかったら。


正直言って私は、どちらを選んでいたかわからない。


もしかしたら、瀬名君だったかもしれない…。


そんなこと言ったって、もうどうにもならないことだけど。


川からビューッと冷たい風が、私達の間をすり抜けていく。


日が沈み始めたせいか、気温がぐっと下がって来た。


「寒くなってきたな…」


「うん。そろそろ帰る?」


「あ、いや…。もう少し」


「え…?」


「もう少し一緒にいないか?」


きゅっと目を細める瀬名君に、私はこくんと頷いた。