一通り撮り終わると、俺達はベンチに腰掛けた。


「瀬名君、ありがとう。

すっごく楽しかった」


「そう?楽しんでもらえて良かった。

それにしても驚いたよ。

優月にあんな集中力があるなんて」


「え?」


「カメラを持つ優月。かっこよかったよ」


そう言うと、優月の口元が少し緩んだ。


「蒼甫君も同じこと言ってた」


「え?蒼甫が?」


「似合ってるって」


確かにそうだよな。


すごく様になってた。


「なぁ、優月。

お前、カメラの仕事に就けば?」


「え…?」


「もしかしたら向いてるかもしれないよ」


「……。考えたこともなかった。

ただの趣味だと思ってたから。

瀬名君、ありがとう。

ちょっと、真剣に考えてみるね」


「うん」


ちょっと優月の顔が明るくなったような気がする。


良かった。


少しでも元気になって欲しいから。