川沿いに着く頃には、少し日が傾きかけていた。


「わぁ、なつかしい。前にここに来た時は夜だったけど。

昼間も綺麗なんだね」


「優月。日が沈み始めてるから、撮るなら急ごう」


「うん。そうだね」


そう言うと、優月は俺にカメラを向けた。


「瀬名君、モデルの頃のことは忘れて」


「は?」


「自然にしてていいよ」


し、自然って。


俺、それが一番難しいんだけどな。


でも、まぁいいや。


優月でも見ておこう。


優月がカメラのレンズを回す。


片目を閉じ、ファインダーを覗く。


その姿に、俺は目を奪われた。


その時、優月がシャッターを押した。


優月。


なんかすげー集中力。


知らなかった。


優月にこんな一面があったなんて。


優月は夕日をバックに、俺の写真を何枚か撮った。


仕事の時に何枚も撮られた写真だけど、優月は丁寧に、優月のタイミングでシャッターを押した。


そのタイミングが絶妙過ぎて、俺は驚きを隠せなかった。