「カメラ?」


「うん」


「古いね」


「フィルム式なの」


「へぇ。よくこんなの扱えるね」


「これでね、前に蒼甫君を撮らせてもらったの。

これで、今度は瀬名君を撮ってみたい」


「え…?」


「瀬名君が写真嫌いなのはわかってるんだけど。

私、写真を撮ってる時が一番気が晴れるみたいで…。

だから、お願いしていいかな」


「いいよ」


「ホントに?」


「どこで撮る?」


「そうだなー。

あ、じゃあ。あそこに行こうよ。

以前、瀬名君が連れて行ってくれた…」


「あぁ、あの川沿いの?」


「うん」


「いいよ。行こう」


俺と優月は、1年の時に二人で行った川沿いを目指した。