優月とふたりカフェに入り、コーヒーを注文して、しばらく外の景色を眺めた。


俺の向かいに座る優月。


泣き腫らした目が痛々しい。


映画の後半、優月はずっと泣いていた。


蒼甫が失恋したシーンあたりからずっと。


蒼甫と別れた日を思い出したんだろう。


「優月。

俺、4月から美容専門学校に通うことになったよ。

願書はもう締め切られてたんだけど、おふくろの友達が学長をやってる学校があってさ。

そこになんとか入れてもらえたんだ」


「そうなの?良かった。おめでとう。

瀬名君、春から専門学校かぁ」


「うん」


嬉しそうに笑う優月。


俺の事でそんなに嬉しそうに笑う優月が、なんだかせつない。


「優月」


「ん?」


「優月は春からどうすんの?」


俺がそう言うと、優月の顔が曇った。