ついに20時になってしまった。


やっぱり来なかった。


そんなのわかってた。


わかってたはずなのに。


涙が止まらない。


私から手を離したのに。


誕生日を祝う権利なんて、もうないのに。


このお揃いのクマのストラップも。


もう持っててもしょうがないよね。


ここに、置いて行こう。


蒼甫君の思い出と一緒に…。


私は立ち上がると、紙袋をそっとベンチの上に置いた。


なんだか小さ過ぎて、強い風が吹けば、吹き飛ばされてしまいそう。


届かない私の思いみたいに。


「……っ」


美しい青い光が滲んで見える。


雪が次第に降り積もっていく。


ああ、どうして。


あの日みたいにあなたはここにいないんだろう。


あの日みたいに笑って。


あの日みたいに触れて欲しい。