もし来てくれるとしたら、あの方向からだよね。


男の人が通るたび、目で追ってしまう。


もしかしたら蒼甫君じゃないかって。


おしりと足が冷たい。


白い息が青い光に吸い込まれていく。


寒くて、耳がヒリヒリする。


「あ、雪…」


雪が降って来ちゃった。


だから、こんなに寒いんだ。


ひらひらと舞う雪が、あの日の桜の花びらと重なる。


『おいで。抱きしめてあげる』


「……っ」


あったかい腕に、抱きしめられるのが大好きだった。


あの胸にもう一度飛び込めたら、どんなにかいいのに……。


どうして蒼甫君のアドレスを消してしまったんだろう。



蒼甫君。



声が聞きたい。



会いたい……。




20時まであと15分。