桐谷君。


ダメだよ。


その席はダメ。


蒼甫君と同じくらいの背で。


同じような髪型をして。


同じような格好で座って。


私の席の前で、後ろを向かないで。


やめて。


お願いやめて。


『優月』


そ、うすけくん。


気がつけば、私の目には涙がいっぱい溜まっていて。


私は教室を飛び出した。


どうしよう。


どうしよう。


思い出してしまう。


思いが溢れてしまう。


髪も切って、せっかく封じ込めたのに。


どうして、思い出してしまうの?


私は走って走って走った。


そして、気がつけば。





あの屋上に来ていた。