忘れようとしてんのに。


憎もうとしてんのに。


どうしてそうやって、俺の心をかき乱すんだよっ。


お前なんか、もう嫌いだ。


さっきの好きは、昔の記憶とか、そんなのかな…。


俺のことを好きだった時期もあったと思う。


あれを全部、嘘だったなんて思えないし。


俺の頬に、優月の頭が触れる。


髪、随分短くしたんだな。


首筋が丸見えだ。


うなじ細いし。


なんかやたら色っぽい。


これって、余計に男を誘わないか?


大丈夫なのかな…。


って、何心配してんの?


あほらしっ。


優月の家の近くの駅に着くと、俺は優月とタクシーに乗り、自宅まで無事送り届けた。


事情を説明すると、優月の親はビックリしていた。


そりゃそうだ。


酒と水を飲み間違えるバカって、なかなかいないと思う。


ふぅ…。


もうここには二度と来ることはないんだろう。


もう、お前に会うことも……。


優月。


さよなら。