タクシーで帰るには遠すぎる洋平の家。


駅前なのが、唯一の救いかもしれない。


俺は二人分の切符を買って、ホームへと向かった。


優月を椅子に座らせると、すかさず肩にもたれさせた。


カバンの中から、キャップとメガネを取り出す。


最近、メディアの露出が増えて来たから、一応気を遣ってみる。


しばらく待っていたら、電車がホームに入って来た。


俺は、優月を支えて電車に乗り込んだ。


座らせると、またさっきと同様に肩にもたれさせた。


くぅーと眠る優月。


優月が完全に眠ってる姿なんて、俺見たことあったかな。


付き合うことが決まった時、朝まで一緒に寝たけど。


あの時は、ほぼ同時に眠っちゃったから、俺は見たことないんだ。


可愛い寝顔…。


憎たらしいくらい……。