「それにしても…、あの子ったらバカね。お店で眠っちゃうなんて。

だから毎晩、早く寝なさいって注意してたのに」


お姉さんはそう言いながら、お茶を運んで来てくれた。


「えっと、こっちがさっちゃん？」


「はい。そうです」


「じゃあ、こっちが優月ちゃんね。二人とも裕樹から聞いてるよ」


私はぺこりと頭を下げた。

一体どう聞いてるんだろうか…。

ちょっと気になったりする。


瀬名君は早くにお父さんを亡くしてるって聞いた。


お母さんは美容師をしながら、瀬名君とお姉さんを一生懸命育てたんだろうな。


今はお姉さんも美容師として一緒に働いていて、瀬名君もよくお店に出て手伝うとか言ってたよね。


瀬名君ってクールに見えるけど、家族思いの優しい人なんだよね。


「私も明日早いからもう休むね。
みんなゆっくりしてね。
少々騒いでも大丈夫だから」


そう言うと、お姉さんは二階へ上がって行った。