びっくりした。


まさか蒼甫君が来るなんて。


しかも、女優さんと一緒だなんて。


映画で共演してること、もちろん知ってるけど。


仲良いんだね。


一緒に居酒屋なんて。


女優さんだけあって、本当に綺麗な人。


髪が長くて、色白で、美人さんで。


私は切ってしまった自分の髪にそっと触れた。


私はもう、蒼甫君の好みの髪型じゃないし。


切ったことが悲しくなってしまう。


女優さんなんだもの。


どう逆立ちしたって、私はかないっこない。


彼女はさっきから、蒼甫君に何度も顔を近づける。


二人が笑うたびに、胸がチクリと痛い。


もしかしたら、お互い好きなのかも。


美男美女だし、すごくお似合いだよね。


「優月、大丈夫か?」


「うん。ちゃんと仕事してる。心配いらないよ」


「そうか」


洋平君が声をかけてくれる。


心配してくれてるんだね。