「お待たせしました」


ビールとオレンジジュースを持って来る優月。


優月のシャンプーの香りがなつかしくて、胸の奥がぎゅっと掴まれたような気がした。


「じゃあ、お疲れさまー」


グラスを合わせる中谷さん。


俺はジュースを2、3口飲んだ。


それにしても、気まずい。


なんで、優月はこんなところでバイトしてんだ?


イチャさんのところを辞めて、もうバイトなんてしてないのかと思ってたのに…。


「ご注文は?」


伝票を持った優月が、笑顔で聞いてくる。


お前は平気なんだな。


俺が女を連れていても。


「オススメは何ですか?」


「そうですね。今日は……」


中谷さんと会話をしている優月に、つい聞き耳を立ててしまう。


そんな俺に気づいてか、洋平が話しかけて来た。


「神崎、焼き鳥食うか?」


「あー、うん。お願い」


居酒屋で働く洋平も、意外とかっこいいなと思った。