この頃、俺は映画のプロモーションの仕事が立て続けに入って、忙しくなっていた。


「飲みたい気分なんだよねー」


俺の隣に座って、疲れた顔で呟く中谷さん。


俺以上に仕事が立て込んでいて、彼女はストレスを溜めているらしい。


お酒が飲みたいって言われても、俺は高校生だし、お酒の飲める店なんて知らない。


俺はゲイって事になってるから、中谷さんはすっかり俺に気を許してしまったようだ。


まぁ変に迫られるより、全然いいけど。


ーで結局、俺が知ってる唯一の店に連れて行くことにした。


店の前に到着し、俺はガラッと扉を開けた。


「いらっしゃいませー」


え…?