「はーい」


中から出てきたのは、髪の長い綺麗な女性。


顔が瀬名君にとてもよく似ている。


瀬名君にはお姉さんがいるって聞いてたけど、この人がきっとそうなんだ。


「あらやだ!裕樹ったら眠ってるの?

ごめんなさいね。迷惑かけちゃって。

お母さーん、ちょっと来てー!」


お姉さんの呼ぶ声に、家の奥から瀬名君のお母さんがパタパタと出て来た。


「まあ、裕樹っ。ちょっとしっかりしなさい」


お母さんが瀬名君の身体をゆらゆらと揺らす。


「んー…」


だけど瀬名君は全く起きる気配がない。


「こんな大きな子、とても二階に運べないわね。

いいわ。母さんの部屋に運びましょ。

神崎君、それからそちらのお友達」


「あっ、斉藤です」


「斉藤君ね。運ぶの手伝ってくれる?」


蒼甫君と斉藤君と、瀬名君のお姉さんとお母さんは、四人がかりで瀬名君を一階奥のお母さんの部屋へ運んだ。