「あの…。話って何かしら?」


薫さんが訝しそうに尋ねる。


私は真剣に薫さんの瞳を見つめた。


絶対、絶対に逃げたりなんかしない。


「単刀直入に言います」


いつにない私の真剣な顔に、薫さんは戸惑いを隠せないようだ。


「瀬名君を、辞めさせてあげてください」


私がそう言うと、薫さんが急に表情を変えた。


「どういう意味かしら?」


「そのまんまです。

この事務所を、辞めさせてください」


私がそう言うと、薫さんが綺麗な脚を組んだ。


「高校生の小娘が、いきなり来てなんなの?

大人や仕事をナメてもらっちゃ困るわ。

裕樹はね、この事務所と契約してるの。

そう簡単に辞められるはずないでしょう?」


薫さんは強気だ。