「失礼します」


中に入り、カウンター越しにフロアを覗くと、事務所の一番奥に鈴木社長の姿が見えた。


そして社長の斜め前に、薫さんが座っていた。


「どうしたの?ふたり揃って」


薫さんがビックリした顔で、私達のところへやって来る。


私は深呼吸をした。


「あの、お話があります」


「話?」


「はい。薫さんに」


「私?」


「お時間いただけませんか?」


私がそう言うと、薫さんはビックリして目を見開いた。


「いいわよ。どうぞ」


薫さんはそう言うと、会議室に私と瀬名君を通した。


私達は、奥の椅子に並んで座った。


その向かいに薫さんが腰掛ける。


今日の薫さんは、グレーの素敵なデザインのワンピースを着ている。


いつ見ても、やっぱり綺麗な人だ。