突然の私の提案に、瀬名君はすごく驚いていた。


無理もないよね。


そんな無謀なことを言い出す私なんて…。


だけど、私はどうしても瀬名君を救いたかった。


一度はダメになってしまったことだったけど。


ずっと諦められなかった。


私と瀬名君は放課後、コズミックのあるビルへと向かった。


瀬名君は来る途中ずっと、やめようと言っていた。


でも、私は聞かなかった。


自分でも、自分がこんなに頑固だとは思わなかった。


蒼甫君を失ったことで、私にはもう失うものなど何もなくなってしまったからかもしれない。


ついに、着いてしまった。


コズミックの事務所の前。


以前、妹さんがつまみ出されていた光景を思い出して、少し身震いがしてしまう。


でも。


それでも私は絶対に引かない。



「いい?瀬名君」


「あ、あぁ…」


私は入口のドアを開けた。