「お父さん、一度でも学費を出してって言ったか?」


「ううん」


「お母さんが言ったか?」


「…ううん」


そんなこと、一度も言われてない。


私のバイト代は、実はほとんど引き出したことがなかった。


お母さんがお小遣いをくれていたし、それだけで充分だった。


時々服なんかを買ったけど、それくらいのものだった。


「大学のことも、気を遣わせてすまなかった。

お父さんは学費の心配より、優月が本当にやりたいことを見つけて欲しかっただけなんだよ」


「そう、なの…?」


「だから、行きたいところに行ってもいいよ。大学でも、短大でも、専門学校でも」


どうしよう。


なんだか目に涙が溜まってくる。


「ごめんな。

ずっと心配だったんだろう?

お父さんの仕事のことが。

お前は長女だからな。

責任を感じてたんだろう」


お父さん…。