そうこうしているうちに、あっと言う間に前髪は切られていて、ドライヤーを当てられていた。


「瀬名君、早いねー」


「そう?」


「プロみたいだー」


「まぁ、小さい頃から見てたからね」


鏡に写った自分の顔を見つめる。


前髪を切っただけで、随分顔の印象って変わるよね。


気分だって変わるし。


「ねぇ、瀬名君…」


「んー?」


「後ろも切ってくれる?」


「え?どうした?」


ドライヤーを止めて、鏡越しに私を見つめる瀬名君。


「後ろ、そろえるの?」


「ううん、そうじゃない」


「-というと?」


「バッサリ切って欲しい」


「え?どれくらい?10cmくらい?」


「ううん」


「20cmくらい?」


「ううん」


「え、肩ぐらい?」


「もっと」


「はっ?」


「ここくらい!」


そう言って私は自分の髪に手を置いた。


「ちょっ。ここって、アゴのラインだろ?

これじゃあ、ショートボブくらいだぞ?」


「いいの」


「いいのって、お前…」


「切りたいの…」


「え…?」


「蒼甫君が好きって言った長い髪は…」


「優月…」