「授業料のために、ずっとバイトしてたじゃん。
家が大変だったんだろ?」


「あー…、うん。まぁ」


「俺な。去年お前からその話聞いて、ちょっとビックリしたんだ。
そんな頑張り屋な感じに見えなかったから」


ど、どういう意味かな?


「すげぇいい子だと思った」


「え…?」


「俺も家が大変だったし、ちょっとお前の気持ち、わかる気がしたんだ」


そうなんだ…。


「あ、そう言えば。

前にね、瀬名君が洋平君はモデルの仕事を真剣にやってるって言ってたんだけど。

あれはお母さんのためだったんだね」


「え?あいつそんなこと言ってた?

まぁ、確かにそうだけど」


だから、洋平君はいつも仕事に真剣だったんだね。


シルバーの髪、あっさり暗くしたり。


真面目にやれって怒ったり。


服だって、古着で頑張って…。


洋平君って思ってたより、ずっと良い人だ。


人ってやっぱり深く知らないと、よくわからないものなんだね。


「まぁ、とにかくさ。

少しの間でもいいから、一緒に仕事しよう。

お前だって仕事してる方が、余計なこと考えずに済むだろ?」


そうだね。


ホントそうだ。


「ありがとう。宜しくお願いします」


そう言って私が頭を下げると。


洋平君がビックリして、目を見開いた。


「お、おう。よろしくな」


ちょっと照れている洋平君に、ちょっと笑ってしまった。


「じゃあな」


「うん。おやすみなさい」


私は洋平君と別れ、自宅へと帰った。