「その頃から店の手伝いも始めたし。

しばらくしてから、急にモデルになるって言い出してさ。

最初は冗談かと思ったんだけど、コイツが載ってる雑誌見せられてさ。

ホントだったんだーってビックリしたってわけ」


「おやじ、しゃべり過ぎー」


「今じゃホントに心入れ替えて頑張ってくれてるよ」


そうだったんだ。


「奥さん入院中だし、優月ちゃんが年末手伝ってくれるとホントに助かるよ。

優月ちゃんの都合に合わせて来てくれればいいから」


「はい」


その日一日仕事をしてみて、私はなんとなく出来そうな気がしていた。


21時過ぎになったので、私は二人に挨拶をしてお店を出た。


「待って。駅まで送る」


エプロンをつけたまま、洋平君がお店から出て来た。


「駅って…。すぐそこだよ」


「いいから」


そう言うと洋平君は、私の背中を押してゆっくり歩き始めた。


「ごめんな。なんか変な話聞かせて」


「え?全然そんなことないよ」


「お袋、入院してんだ。年末には戻れそうだけど」


「大変だね…」


「そんなことないよ。お前だって、ずっと大変だったんだろ?」


「えっ?私?」