「なぁ、お前さ。イチャさんの事務所、辞めたんだろ?

アルバイトはどうするんだ?

受験もあるし、もうやらないのか?」


「あ…、ううん。私、進学はしないつもりだから」


「えっ、進学しないでどーすんの?」


「どうしようか…。何も考えてない」


「んな、のん気な。

って、まぁしょうがないよな。

神崎といろいろあったし、それどころじゃなかったんだよな」


まぁ、のん気なのもあるんだけど…。


「なぁ、もし良かったらだけど。俺の家でバイトしないか?」


「え…?」


「俺の家、小さな居酒屋やってんだ。

実は俺も夜は店に出てんだ。

今まで言ってなかったけど」


「そうなの?」


へぇぇ。洋平君の家って居酒屋だったんだ。


ちょっと意外…。


「年末も近いし、人手が欲しかったんだ。

俺と一緒に仕事するのがイヤじゃなければ、どうかな?」


居酒屋かぁ…。


お酒のことはさっぱりわからないけど、ホールだったら出来るかなあ…。


「んー。出来るかどうか、やってみないとわからないけど…」


「じゃ、試しにバイトしてみる?」


「あ、はい…。お願いします」


そんなわけで、私は洋平君の家で、お試しアルバイトをすることが決まった。