「こうなったのも、もともとは私がいけなかったんだよね…。

私がイチャさんのところでバイトなんてしちゃったから、蒼甫君を巻き込んでしまったんだもの。

本当は蒼甫君、俳優なんてやりたくなかったのに…。

だから、自業自得なのかも…」


あの事務所に蒼甫君を連れて行かなければ、こんなことにはならなかったはずだもの…。


「それは違うよ。優月ちゃん」


「えっ?」


「実は私ね、昔からそんな気がしてたのよ。

蒼甫、サーフィンやっててもかなり目立ってたしね。

いずれにしても、蒼甫にはスカウトが来てたと思うわ。

だから優月ちゃんが自分を責める必要なんかないわ」


「静華ちゃん…」


「アイツはそうなる運命だったのよ」


運命…。


「そういう星のもとに生まれちゃったんだわ」


静華ちゃんがふふっと笑う。


「蒼甫には黙っててあげるよ。正直つらいけど。

でも確かにアイツが成功するためには、少しの未練も残しちゃいけないと思うわ」


静華ちゃんがそう言ってくれると、すごく心が安心する。


「今度、さっちゃんと女三人でカラオケに行こう。

思いっきり歌って、思いっきり泣いたら、少しは気が晴れるわよ。

何時間でも付き合うから、ね」


「ありがとう…。静華ちゃん…」