「私ね。

優月ちゃんの事、最初は大嫌いだったの」


突然の静華ちゃんの言葉に、ピタッと動きが止まる。


「おとなしくて、か弱そうで、いかにも男が守りたくなるような感じでさ。

しかも、女の子とはあまり話さないくせに、ちゃっかりイケメンと仲良いしさ。

あれじゃあ女子を敵に回してもしょうがないって思ってたわよ」


うっ、なんだかグサグサ来る。


「差し伸べられた手を、ほいほい掴んでるようにも見えたわ」


み、耳ふさぎたいな。


「でもね。一生懸命バイトしたり、頑張ってる優月ちゃん見てて、私考え方が変わったの。

すごく優しいし、純粋だし、素直だし」


「静華ちゃん…」


「いい子だなって思ったの。深く知れば知るほどね。

だから蒼甫も渋谷も瀬名君も、優月ちゃんが好きなんだってわかってきたの」


静華ちゃんがにっこり笑う。


「蒼甫と別れた理由を聞いて、ますますすごいなって思ったわ。

私だったら自分のそばにいてほしいし、絶対離れないと思うから。

いくらそれが相手のためだって言われても無理だもの」


静華ちゃんにそう言われて、気持ちがユラユラしてしまう。


私も自分の気持ちを優先しても良かったのかな…。