まさか自分からこの言葉を、蒼甫君に告げる日が来るなんて思いもしなかった。


振られることはあっても。


私から告げるなんて、有り得ないと思っていた。


蒼甫君の動きが止まっている。


私も身動きなんてとれない。


でも、目をそらしちゃダメだ。


泣いてもダメだ。


本気だとわかってもらうために……。


「な、に言ってんだよ。

悪い冗談、やめろよ」


震える声を出す蒼甫君。


「冗談じゃないの」


私は強い口調で言った。


「……なんで?

ウソだろ?

なんで急にそんなこと?」


「急じゃないの…。

ずっと、ずっと考えてたことだよ」


指に力が入ってしまう。


頑張れ。


ここで引いちゃダメだ。


「なに、それ?

どういうこと…?」


蒼甫君の顔が苦しそう。


私も胸が張り裂けそうになる。


「ワケがわかんねーよ。

俺の事、嫌いになった?

俺、なんかした?

なんか、傷つけるようなこと言った?

ねぇ、優月」


蒼甫君…。