「瀬名君。私は間違ってる?

間違ってるかな…」


一体何が正しくて、何が間違っているの?


ずっと、ずっと混乱してる…。


「優月。俺、思うんだけど…」


瀬名君が目を伏せたまま、言葉を紡ぐ。


「優月が別れたいって言ったところで、蒼甫が優月を手放すとは思えない」


ふぅとため息をつく瀬名君。


「それに、優月。

嘘つくの下手だし…」


「…うん」


そうなんだよね…。


「俺からも蒼甫を説得してやりたいけど、アイツの決意は固いと思う。

もう決めてたんだと思う。

多分、優月が他校の生徒に絡まれた時から…」


「え…?」


「それでも映画を引き受けたのは、イチャさんや事務所への義理があったからだろう。

別に、優月との旅行代が欲しかったわけじゃないと思う。

優月と会えないのをガマンしてまで引き受けるほど、魅力的な条件とは思えないし。

そうやって自分の気持ちを奮い立たせてただけだろうと思う。

アイツは、そういうヤツだから……」


蒼甫君…。


そうなの…?