「あのね、私ね」


手が震えてしまう。


それを隠すように、コーヒーを口にした。


カップを戻すと、カチャカチャとソーサーが音を立てた。



「私…、



蒼甫君と別れようと思ってる……」



口にしただけで、目に涙がいっぱい溜まる。



「優月…」



こんなんじゃ。



こんなんじゃ言えるわけないのに…。