瀬名君と電車に乗り、私の家の近くの駅で降りると、駅前のドーナツ屋に入った。


瀬名君とドーナツってあんまり結びつかないけれど。


私達はドーナツをひとつずつ買い、ドリンクを頼んだ。


瀬名君のカッコいい姿に、お店にいる女の子達の視線が集中する。


蒼甫君といてもそうだけど、瀬名君もやっぱり同様なわけで。


「優月、お前なんかあったろ」


席に着くなり、そんなことを言い出す瀬名君。


でも、しょうがない。


バレバレに違いないのだから。


「蒼甫が心配してたぞ。

優月が何考えてるかわからないって」


蒼甫君…。


「アイツにあんまり心配かけるなよ…」


そう言って瀬名君がため息をつく。


「何があった?言いにくいこと?」


私を真っ直ぐに見つめる瀬名君。


とてもじゃないけど、ドーナツなんて口にする気分じゃなかった。


「言えよ…」


瀬名君は静かに言った。


「わかった…。言う」


私がそう言うと、瀬名君の表情が変わった。