「蒼甫君、心配かけてごめんね。

大丈夫だから。

暗くなって来たし、もう帰るね。

ここでいいよ」


「えっ?ちょっ」


「また、明日ね」


「優月、待てよ」


蒼甫君に腕を引かれ、そしてすかさず抱きしめられた。


「優月」


蒼甫君の大きな腕にすっぽり入ってしまう私。


あたたかい…。


「お前、今日変。

心配だよ。

なんかあったの?」


蒼甫君。


ダメだよ。


抱きしめられたりしたら、私。


思いがあふれて。


言えなくなってしまう。


言ったってきっと。


信じてなんてもらえない。


「蒼甫君…。わ、たし、と…」


ダメだ。


言えない。


『別れて』なんて。


言えない。


「…うっ」


「優月…」


どうしよう。


涙が止まらない。


「ごめ、ん。ちょっと、泣きたいだけ」


「ホントに?」


「き、昨日寝てないから、ちょっとおかしくなってる」


「そか。今日はゆっくり寝ろよ?」


「ん…」


日がすっかり傾きかけた公園で、私を抱きしめる蒼甫君。


しがみつきたい気持ちを、必死でこらえる。


せつなくて、悲しくて、壊れてしまいそうだった。