「誰もいないところに、行きたい…」


「え…?」


「私と蒼甫君のこと、誰も知らないところに」


「優月…」


蒼甫君が私の肩を引き寄せる。


「ごめんな。ごめん。

ずっとつらい思いさせて。

俺が映画とか出たばっかりに、寂しい思いさせて。

でも、もう大丈夫だよ。

これからはずっと一緒にいるから。

堂々と一緒にいられるから」


蒼甫君…。


私もそうしたいよ。


ずっと、ずっと一緒にいたいよ。


「優月、泣いてるの?

どうしたの?

今日、様子おかしい」


「ご、ごめん。ごめん…ね」


必至に謝っていたら、蒼甫君が私の肩を抱いている腕に力を込めた。


「優月…。

あの…。

俺ん家、来る?」


え…?


「蒼甫君?」


涙目のまま、蒼甫君を見上げた。


「おふくろいるけど…。

俺の部屋、来る?」


せつない顔で私を見つめる蒼甫君。


「で、でも…」


そんなところに行ったら、私…。


きっと。


引き返せなくなる…。


身体なんて触れ合ったら、


それこそもう二度と…。