でも、いきなりそんなこと言ったら、蒼甫君はなんて言うだろう。


どうして?って聞くよね?


どう答えたらいいの?


きっと抱きしめられたら、それだけで簡単に決心が鈍るのに。


口に出して、言えそうにない。


そんなこと、言えるはずがない。


「優月?どうしたの?なんかあったの?」


「え?」


「なんか今日、いつもと違う気がする」


蒼甫君…。


ダメだよね、私。


すぐに見破られちゃうもん。


蒼甫君が好きだから。


きっとすぐに嘘がバレてしまう。


「蒼甫君」


「ん?」


私を優しく見つめる瞳。


その顔を見ただけで、泣きそうになってしまう。


「蒼甫君、逃げよう」


「えっ?」


「このまま逃げよう、ふたりで」


「優月?」


動揺する蒼甫君。


「どうした?学校で何かあった?」