「なんか今日、無口だね」


電車を降りて、蒼甫君の自宅へと歩く私達。


「そうかな?そんなことないよ」


「あ、ちょっとそこの公園寄って帰ろうか」


「うん」


私と蒼甫君は、ブランコと滑り台と鉄棒だけの小さな公園へと入った。


「なんかおごってあげる。

どれがいい?」


「んー。じゃあ、あったかいのがいいな。ココアにする」


「了解。俺もそうしよっかな」


自動販売機のボタンを押す蒼甫君。


「はい」


「ありがとう」


ココアを手にし、二人で公園のベンチに腰掛けた。


「もう日が随分傾いてるね」


「10月の終わりだからなー」


公園がオレンジ色に染まっている。


蒼甫君の顔も、オレンジ色になっている。


「なぁ、優月。優月は進路どうすんの?俺と同じ大学受ける?」


「あー、そのことなんだけどね」


「ん?」


「うち、私立はちょっと難しい」


「えっ?そうなんだ」


「…うん。それにね…。まだ見つかってないの。やりたいこと…」


「そっか…」


そう呟いて、蒼甫君がココアを口にした。