思わず思い出して笑ってしまう。


「何、ニヤニヤしてんの?」


「ううん…。何でもない」


「そう?」


「あ、ねぇ。蒼甫君。

もう一回だけ聞くんだけど」


「ん?なに?」


「重光監督の映画、本当に出なくていいの?」


「またその話~?

もうやらないって言ってるだろ?」


「どうしても?」


「どうしても!」


口を尖らせる蒼甫君。


どんな顔したって、大好きだけど…。


「ねぇ、蒼甫君。今日一緒に帰れないかな?」


「ん?」


「私が蒼甫君を家まで送ってあげる」


「ははっ。何それ。

まぁでも、いっか。

もう俺、辞めるんだし。

一緒に歩いたって構わないよな?

今日は瀬名に優月送らなくていいって、俺から言っとくわ」


「うん」