「アイツの仕事が安定するまででいい。

アイツが俳優の道を自分で選ぶまで。

それまででいいから…」


「で、でも…」


もし、もし蒼甫君が、それで私のことを忘れてしまったら?


他の人を好きになってしまったら…?


私を、嫌いになってしまったら…。


そうしたら私…。


「信じろ」


「洋平君」


「信じろ。アイツの気持ちを」


「そんな…」


「いつか戻れる。絶対」


どうして?


どうしてそんなこと言い切れるの?


「い、いつまでなの…?」


「……わからない。

1年後…。

いや、2年後か…」


なにそれ…。


そんなの…。


「いい加減にしてっ!」


私はガタンと席を立ち上がった。


大きな声を上げてしまったせいで、他のお客さんやマスターに見られてしまう。


でも、黙っていられなかった。