「少しの間でいいんだ。

アイツと距離を置け」


洋平君の言葉に、視界がゆらゆら揺れる。


距離を置く…?


前にもそんなことがあった。


女の子達に陰口を叩かれていた頃。


渋谷君が、私にそう言ったんだ。


距離を置いた方がいいって…。


どうして?


どうしてまたこんなことに……?


もうイヤなのに。


離れるなんて、絶対イヤなのに。


「とにかくさ、アイツが俳優を続けるためには、お前の協力なしじゃどうにもならないんだ」


「洋平君…。でも…」


「頼むよ…」


どうして。


どうして洋平君はここまで私に頼むんだろう。


イチャさんも、蒼甫君を説得して欲しいって。


俳優になることが、そんなにすごいことなの?


蒼甫君は望んでないんだよ。


それが蒼甫君の幸せなら、私はどんなことだってするけど。


蒼甫君は、私と一緒にいたいって言ってくれてる。


それが、そんなにいけないことなの…?